Rie’s diary

おいしいものと旅行が大好きです。

西成(1)~あいりん・釜が崎 (大阪)

 盛岡の方だと、西成、あいりんときいてもおそらく何も思わないだろうなのですが、関西地方出身者なら必ず「足を踏み入れてはいけない場所」という回答になるだろうところです。日本三大ドヤ街の1つ。おそらくその中でも最大。

 

 ドヤの語源は「宿(やど)」。昔から逆さに読むセンスがあったんですね~。ドヤ街というのは日雇労働者さんたちが泊まる3畳風呂トイレ共同みたいな簡易宿泊所がたくさんある街のことで、裏を返すと日雇労働者さんが職を求める場所や寄場などがあるところでもあります。「ドヤ街のおっちゃん」というと、日雇労働者さんでいわゆる「おうち」を持たないおじさんのことを指すことが多いです。日雇いなので仕事がない日もある、おうちを持たない、ということは、一緒に暮らす家族がいない、ってことですね。

 

 でも、なぜ、私が「ドヤ街」などの言葉を知っているんだろう?自分でも不思議に思うのですが、記憶をたどると、おそらく灰谷健次郎さんの本が最初の出会いなのではないか、と。お姉ちゃんが読書好きだったので、うちにはちょっと難し目の本がたくさんあって、自由に(お姉ちゃんには怒られたけど)読むことができて。今となって、その環境をありがたく思うのです。

 

 それから、場所は違うけれども「蟻の街のマリア」と言われた北原怜子さんは、実は中高の先輩にあたるらしく、先生方からきいた彼女の話もなんとなく記憶にあるんですよね。

 

  さて。今回、ココルームさんにお世話になるために大阪は西成へ。伊丹空港からは、いくつかのルートがあるのですが、伊丹空港が新しくなっているのに驚いてそのままモノレールに乗ってしまいました。そうなると、伊丹空港千里中央-動物園前、という移動になります。千里中央での乗り換えが面倒なんですが、そこからは1本でいけるのでやっぱり便利。1時間ぐらい。リムジンバスであべの橋駅やなんば駅に移動して、そこから電車、という方法もあります。

 

 動物園前。通天閣や新世界への最寄り駅。今回は反対側の動物園前一番街の商店街に入ります。

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 土曜日の昼間でしたので、人通りも多く、アーケード付きのレトロな昭和の商店街の雰囲気満載。また、「カラオケ居酒屋」が数多くできていました。「カラオケ居酒屋」は、盛岡にたくさん残っている「カラオケスナック」と作りは一緒です。カウンターがあって、カラオケが歌えるようになっていて、カウンターのお客さんと中にいるお姉さんでカラオケを歌っています。ただ、お姉さんは日本人ではなさそうだな、と思いました。若い方が多かったけれども(盛岡だと、カウンターのママもレトロなことが多いので)。着いたのは午後でしたが、楽しそうな歌声が商店街に響いています。

 

 今日の宿泊場所のココルームさんはアートのNPO。この日は、R大学のゼミの学生さんたちが来ていらして、ホームレスの方々に手作りのおにぎりを配る「夜回り」を実施するとのこと。私もおにぎり作りから参加させていただくことにしました。

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 みんなのメッセージを一緒につけるのですが。ごめんなさい、おにぎりが小さいのは私のせいです。ちょうど、おわんにごはんを盛る係をしていたのですが、慣れないので、盛りのごはんの量が一定せず。ちっちゃなおにぎりもできてしまった、ということです。
 

 ごはんを食べて一息ついた夜8時。人数が多かったので、2手にわかれて夜回り。私が入ったグループは、山王商店街をまわって、それからいわゆる「センター(あいりん公共職業安定所)」のあたりを歩きました。三角公園の方とかは行っていないです。路上で寝ていらっしゃる方がいらしたら、姿勢を低くして声をかけて、おにぎりとお菓子とお茶とメッセージをお渡しします。

 

 私は東京での生活が長いし、多摩川河川敷のブルーシート小屋暮らしのおっちゃんと、うさぎを介して仲良しだったりしたので、加えて、ガイアナトリニダード・トバゴキューバ、ロシア、ニューヨークなどの多種多様な国への訪問経験もあるので、おそらくいつのまにかかなり色々なものに対する許容範囲が広い人間になっていると思われ。

 

 あ、みなさん、いらっしゃる。ぐらいで受け取ってしまったのだけど。

 

 学生さんたちには、相当に衝撃を受けたようでした。おそらく、今のうちの学生さんたちだったら、相当に衝撃を受けるでしょう。盛岡にはほぼホームレスの方がいらっしゃらないので。ちなみに、盛岡で困窮した場合はどうなるのかを不思議に思っているところ。

  

 夜回り後、振り返りと言うことで学生さんたちの感想をきいていました。「怖かった」という思いは、それはそれでいいのだと思います。

 

 だけど、思い出したのが、震災直後の学生さんたち。被災地にボランティアに入って、色々と活動を続ける中で、今でも申し訳ないと思ってしまうぐらい、一気に「大人」になってしまって。「大人」にならざるを得ない大変な経験をして。今回の学生さんたちが、ゆっくりと大人に向かう姿を見て、気がつかないかもしれないけど、それは幸せなんだよ、と。久々に思いました。

 

 アーケード商店街は夜も11時ぐらいまで明るくて、観光客を中心に人通りもあり。んでも、やっぱり夜は女性1人歩きは、少なくてもアーケード街以外は、やめておいた方がよいと思います。

 

 移動途中、道の向こうに見えた飛田新地は、本当にその通り「キラキラ」していたのが印象的でした。外側は真っ暗なのに、中はきらっきら。ちなみに基本的に女人禁制。うっかり間違えて入ってしまわないように、気をつけて歩きましょう。