鳩。ピジョン。フレンチの高級食材。
以前、フランスのナントで一度食べたことがあって、そのときのメモには「お刺身みたいな上品な味」と書いてあったピジョン。グラストのフレンチを専門とする村松シェフに「メニューには載せていないけど出せるよ」とお伺いしましたので、お願いすることにしました。
どうしてもそれなりのお値段になるので、二人で一羽を勧められましたので、何人かお誘いしましたが、「鳩、食べに行きませんか?」はかなり警戒されました(笑)。まぁ、あの駅前にいるドバトを食べますか?と言われたら、まぁね。
メニューも特別に用意してくれました。こういうの、いいね!
前菜には秋刀魚とキノコとミズの実をあえたものをお願いしました。
ワインは神田葡萄園の白ワイン。さっぱりしていておいしい。日本人の作る白ワインはお魚に本当によくあう。
しかし。キノコおいしい。私はキノコ嫌いだったけど、キノコ美味しい。純粋に自分が美味しいと思うか思わないか。どんどん食べられるものの世界が広がっていく感じ。でも、これ、東京だったら食べられないままだっただろうなぁ。
ソムリエさんと相談して、次のワインはブルゴーニュの赤ワイン。
そして。
じゃーん。
ソースは菊芋のほっくりした甘めのソースと鳩の内臓をつかったちょっと苦いめのソース。バランスがいい。
肩とモモはコンフィで。いわゆる身の部分とささみはじっくりロースト。しっかり火が通っているのにみずみずしいのはシェフの腕前ですね。ふんわり柔らかくさっくりしていて、やっぱりお刺身みたい。すんごく上品なお味。コンフィはカリッ。ハツはコリッ。食感も複数楽しめます。
今回の鳩はプレス産。「ブレス」というのはフランスの地方のことなんですが、ここで育てられる鶏さんは「ブレス鶏」といってフランスの中でも特別な存在。そのブレスの鳩さん。フランス人にとってもこだわりの食材です。
あまり日常ではこういう話はしないのですが、グラストさんでは別。シェフとフレンチベースの会話も楽しませていただいております。
ということで、昔の写真を発掘。
これがピジョン。
この時はソースの味がきつくて、せっかくのピジョンの良さが感じられなかったように日本人の私には思いました。「お刺身みたい」という表現を使うぐらいなので、わさび醤油で食べてみたいぐらい。村松シェフのソースは主張が強くなくて、ピジョンの上品さを引き立てていたと思います。
まるごとブレス鶏。
ミシュラン2つ星のラ・メール・ブラジエ(La Mère Brazier)さんのスペシャリテ。まるごとを見せてくれて、その場で捌いてくれて、さらに個々のお皿にクリームをまとってでてきます。クリーム版とカリカリ版と2皿。
しかし、フランス語がわからなくても、美味しいものを食べたい一心で開拓した私も頑張り屋だ。いや、方向性が間違っているかもしれないけれども。
デザートはいつものモンブラン。今日の中身はさるなしのムース。酸っぱさが秋の味。
次はリヨン風サラダにクネル、その次はカスレ。雪降る寒い季節にぴったりの熱々のオーブン料理たち。旅行はできないけれども、料理は普遍。とっても楽しみです!